眠剤をもらった話

去年の暮れからぽつぽつとメンクリに通っていたが、最後に処方されたエスシタロプラムという薬がどうにも合わず足が遠のいていた。私を再びメンクリに行く気にさせたのはかねてからの動悸が再発し、それによる不眠をなんとか酒でごまかしごまかし、とうとうごまかせなくなった時だった。調べてみると、私が通っていたメンクリは閉院になっていた。仕方なしに職場からほど近い別のメンクリを探し、そこに行くことにしたのだった。

初めて行くその院は不安になるほど職場から近く、待合室は人でごった返していた。診察では院長先生が丁寧に話を聞いてくれ、採血や木の絵を描くなど通り一遍のことをした。私に処方された薬はデエビゴと呼ばれるもので、これは睡眠薬だった。今日はこれを使い始めて1週間ほどになるので、その感想を書いていこうと思う。

まずこの薬、飲むと非常に自然な眠気が来る。大学生の時よりまともな眠気が来ず、自然に寝れたことの久しくなかった私にとってこれは久々の感覚だった。ただし、中途覚醒にはあまり効果がないようで、最初に飲んだ時には翌日4時5時ほどで目が覚めてしまった。そして副作用と言ってはなんだが、少しだけ頭が鈍ったり感情の起伏が抑えられる感じがある。とはいえ、エスシタロプラムで体験した、脳に靄がかかるような感じよりはよっぽどましである。せいぜい思考力のベースが正常時の10~15%ほど落ちるだけで、これは不眠によるものよりよっぽどマシであった。また、少し悩まされるのが食後の眠気だ。昼食後に耐えがたい眠気が襲ってきて、今日も15時から17時ほどまで眠ってしまった。休日だから良かったものの、平日の仕事中にこれがきたらたまったものではない。

とはいえアルコールに依存するよりはよっぽどマシだ。この薬を処方される際、院長先生より「酒はやめてください、ゼロで」と言われた。私はその言葉通りに処方されてから薬を一滴も飲んでいない。飲み会で「今は酒飲めないんです」と言ったら「相変わらず波がでかいねw」と茶化されたがそれでもかたくなに守っている。私がこう茶化されるのは今までもメンタルの浮き沈みによって酒を飲んだり飲まなかったりしたためだが、こうして文章にして思い返してみると癪だ。「なんで酒が飲めないんですか?」とか聞いてきた者もいたが、テキトーに手でミッフィーちゃんの口を作ってごまかした。「眠剤と一緒に飲んだらダメだからです」とでも答えようか。人が酒を飲めない理由なぞ聞くのはノンデリカシーだとよっぽど思い、また自戒にしようと思った次第だ。