代休を使って8/22~8/24の3連休を錬成した。これを機に、駅メモで埋めていない区間をテキトーに回ってみようと思った次第である。ざっくりとしか予定を立てていないが、群馬〜新潟あたりを攻めてみることにした。新潟は私の人生で初上陸、というか通過したことすらない県なので楽しみだ。本当は三日間を一つの記事にまとめたかったのだが、私の悪筆がたたって長々しい文章になってしまったので、日を分けて別記事で書くことにした。
一日目、上信線
渋谷から湘南新宿ライン高崎線直通を使って高崎へ。途中で自分が乗っている車両が籠原止まりなことに気づき、数駅前から移動を開始したところ電車のドアが閉まってしまい、途中から快速ではなく各停に乗る羽目になってしまったこと以外は想定内だ。群馬の路線は盲腸線が多く、しっかり制覇するとなるとなかなか時間がかかるらしい。効率を求めたガチ勢としてやっているわけでもないので、今回は上信線というローカル線だけを攻めることにした。発車間隔は一時間半程度、終点の下仁田までは一時間で着く。下仁田には下仁田カツ丼というローカルグルメもあるらしいので楽しみだ。また、途中の上州富岡にはあの有名な官営富岡製糸場がある。歴史の資料集に載っているのを見たことしかなかったので、ここにも行くことにした。12:10頃に高崎に着。次の上信線の発車は12:53だったので、しばらく高崎で時間を潰した。群馬県第一の都市だけあって、駅前は完全な都会だ。

駅構内の売店で軽食としてカレーパン、お土産として瓶詰めの下仁田ネギラー油とかいうもの、夜に飲む用の軽井沢ビール2本を購入した。今考えたらカレーパンだけで良かった。既に二日分の着替えでリュックの中はパンパンになっているし、どうせまた高崎に戻ってくるのだから帰りに買えば良かった。もうもうとした気だるい暑さに包み込まれた上信線のホームでカレーパンを喫食。朝から何も食べていない腹に、冷めてはいるものの素朴なカレーパンが響く。 本当は店内に併設されたイートインコーナーでレンチンして食べたかったのだが、会計の終わり際に「イートインコーナーで食べる場合は税率の計算が別になるので事前に申告してください」と書かれているのを見つけた。それを無視してイートインコーナーで食べてもまさか注意などされなかったとは思うが、2%の税率をケチっている、人間性がちまちまとした陰鬱な人間などとは思われたくなかったので諦めた。軽減税率が憎い。

時間になったので改札を済ませて電車に乗り込む。駅員さんが手動で切符にパンチするタイプの改札だった。昔の映像で、主要駅のとんでもない人数の改札を、鋏をカチャカチャしながら捌いている駅員さんを思い出した。あの一瞬で乗り越しとか定期の期限切れとかを判断していたのだと言うから驚きだ。
さて、上信線はワンマン運行しており、無人駅で降りるときは進行方向最前のドアから整理券と現金で精算するというローカル線にありがちな方式だ。しかし、幸いにも私の利用する予定の高崎、上州富岡、下仁田は全て自動券売機がある有人駅だった。



程なくして上州富岡に着いて富岡製糸場を観光。正直展示として面白いものはあまりなかったように思うが、それよりもこの建物が明治日本の一大輸出産業を支え、大いに外貨を獲得する役割を担ったというところに価値がある。日本史好きとしてはこの目で見ることができただけでも嬉しかった。一時間ほど見学して下仁田へ向かう。高崎から出てすぐに車窓が畑だらけになったのだが、ここからはさらに険しい自然の領域に入っていく。草原をぴょこぴょこと楽しそうに飛び回るキツネがいた。特に最後の下仁田駅までの区間は、電車が深い渓谷と並走していた。かなり速度をセーブして走っているもののガタゴトと激しく揺れ、車体も傾いていたので心配になるくらいだった。
そんなこんなで下仁田に到着。ここまでで上信線の駅を全てコンプリートできた。駅に降りてから真向かいにあるレストランに入った。かねてからの目的であったカツ丼とソフトクリームのセットを注文。カツにソースはかかっていないのだが、その下のご飯に甘めのタレがかかっている。これにより、カツをサクサクのまま食べることができるのだ。一般的なカツ丼とかソースカツ丼の弱点を見事に補っている。カツには地場の赤城ポークというのが使われているらしいが、豚の甘みが濃厚な味わいでご飯に良く合う。

さて、ここであることに気づく。次の下仁田駅からの発車時刻は15:58、現在時刻は15:45。これを逃したら次の発車時刻は16:56。一時間近くも下仁田で足止めをくらう。何か駅周辺で時間を潰せそうなスポットを探してみたのだが、悲しいかな見つからない。夏場でもなければ散歩して時間を潰すこともできたのだろうが。ここで私は次の電車に乗る決意をした。つまり、10分近くでカツ丼とアイスクリームを平らげて駅へ向かわなければいけない。また、私は事前の調査で下仁田で500円以上の買い物をすると、下仁田駅から任意の上信線の駅で降りられる特別キャンペーンがやっていることを知っていた。これに申し込むのに駅で申請書を書かなければならない。さらに時間はシビアになってくる。私は急いでカツ丼を平らげつつ、店員さんに「アイスクリームをお願いします」と、食後の良きタイミングで持ってきてくれたであろうアイスクリームを事前にオーダーした。カツ丼はすぐに食べ終えることができたのだが、問題はアイスクリームだ。

見よ、この高さを。都会やその辺の観光地では割高なくせに大して量のないプチぼったくり的メニューが横行しているが、この店は駅の真向かいという絶好のロケーションにありながらこのボリュームを提供している。コーンの中までぎっしりだ。観光地というのは人が多ければ多いほど舐めた商売をし出すので、やはりこういう穴場的なスポットの方がサービスが良いなとしみじみ感じた。いやしかし、そんなことを言っている場合ではない。良く冷えたアイスクリームを最初の一口、二口のみ丁寧に味わった後、フードファイト的に流し込む作業に没頭した。完食と同時に席を立って会計。なんとか出発までに3分の猶予を残すことができた。レシートを大事に持ちながら即座に駅に引き返し、申請書に記入する。良かったことに、記入事項はせいぜい氏名と簡単なアンケート項目のみだった。駅員さんに渡して特別切符を受け取り、急いで停車中の電車に乗り込んだ。私のフードファイティングスピリッツが奏功したのだ。

帰りの車内では急激な血糖値上昇による眠気に襲われた。高崎駅で明日の新潟入りに向けて、事前に高崎→長岡間の乗車券(3080円)を購入、ホテルへの帰路についた。ちなみに、高崎〜長岡間はICカードで通るとエラーになるので注意。水上まではSUICA首都圏エリアなのだが、長岡は新潟エリアになり、ICカードではこのエリアまたぎができない。技術的な制約があるのだろうが、解消されることを望む限りだ。

と、ここまで書いてホテルの大浴場に入ってこようと思ったのだが、着替えのシャツとパンツを忘れていることに気づいた。あれだけ荷物を確認したのに、本当にどうしようもない人間だ。しかし、高崎に宿をとっているおかげでいくらでもリカバリーは利く。こうした旅では、一日目に荷物の点検、補給がてら都会に宿を取っておくと良いのかもしれない。そうして私は街へ繰り出し、ユニクロへと向かったのだった。夜の高崎駅は左翼の街宣とそれに絡む酔っ払ったヤンチャ風の若者、顕正新聞を配るマダムたちが跋扈していた。