はじめに
デジタルデトックスという言葉には甘美な響きがある。現代病の一切合切を電子機器、SNS、ブルースクリーンによるものだと断定し、それらを絶てば万事解決のような。もちろんそんな万能薬ではないのだが、一般に言われるような多くのメリットがあることもまた確かだ。しかし、デジタルデトックスの実践は難しい。電子機器の使用によるアドレナリンに浸りきった脳味噌は中途半端なデジタルデトックスの実践に耐えないだろう。デバイスを全て置いて旅に出るとか、あるいは設定した時間にならないと開かない箱に入れてしまうというようなドラスティックな方法もあるかもしれない。しかしこんな荒療治は簡単にできるものでもなく、日常生活に溶け込まない。
そこでやってみたのが"ゆるい"デジタルデトックスだ。ここで言う「ゆるい」には色んな意味があるが、実践が簡単とか制限がゆるいとかそんなニュアンスを持ってもらえれば良い。
手段の説明の前にあらかじめ断っておきたい。このデジタルデトックスの目標は「だらだらネットを見ている時間をなくし、自分が本来やりたい活動に時間を割く」ことだ。ブルースクリーン全般を見ないようにしたいなどの場合は当てはまらないので注意されたい。
実践方法
1. 支配的なデバイスを割り出す
まずネットの利用にあたって"支配的"なデバイスを割り出すことが重要だ。ここで言う支配的とは、だらだらネットを見ている際によく使うデバイスを指す。私の場合はノートパソコンが圧倒的だ。SNSからYoutubeに至るまでほとんどここからアクセスしているため、これを使わなければ大いに効果が上がる。こうした視点で手持ちの機器を見ると、なんとなく機器ごとに役割があることに気づくだろう。私の場合は以下のようになる。
- スマホ: 調べもの、ネットニュース、電子書籍。ほとんど外出時にしか使わない
- タブレット: 学習時のノート代わり
- デスクトップ: 開発、書き物、将棋の検討ソフト、ブラウジングその他
- ノートパソコン: 開発、SNS、ブラウジングその他
こうして見ると一目瞭然だろう。スマホはほとんど外出時にしか使わない、タブレットも学習時にしか使わない、デスクトップは生産的な用途に使われている。支配的なデバイスはノートパソコンだ。
2. 支配的なデバイスを隔離する
支配的なデバイスを割り出せたら、あとは隔離すればよい。私は下駄箱の中に入れているが、とにかく生活空間から離れており、普段は開けない場所であればどこでもよい。電源を切るか切らないかもお好みだが、基本的には切ることを推奨する。結局はちょこちょこ見てしまうこともあるからだ。しかし、使ったら元の場所に戻すことは心がけてほしい。ここは何かしらスマートなソリューションで解決するのではなく、人間の良心と精神力に負うところだ。結局のところ、精神がデジタルデトックスに適応できなければ実践する意味もないからだ。
3. 全ての機器でSNSからログアウトする
これは必須だ。実践に当たってSNSは害毒なので絶対にログアウトする。なお、アプリを入れている場合はアンインストールすること。以後、必要になった場合はブラウザからアクセス、閲覧が終わったらログアウトすること。
4. 他の機器を機内モードにする
あとは通知が飛んでくるタイプのデバイスは全て機内モード&WiFiをオフにする。これで煩わしい通知から解放される。他の手順と同様、たまに使いたくなる時があれば解放しても良いのだが、終わったらまた元の状態に戻してほしい。
手順としては以上になる。説明にもあるように、この方法は一定の精神力を要求する。ここの蝶番が馬鹿になってしまうとあとは全て元通りで、デジタルデトックスも何もない。ただ、強制的にデバイスを使えなくするよりも、デバイスが使える状態で自らの意思で使わない方がデジタルデトックスとしてはよっぽど上等で効果があるもののように思う。一時的に使えない状態に身を置いてデバイスを使わないのは当然だ。むしろ使える状態の方が日常生活の圧倒的多く(というより現代はほぼ全ての時間と言っても差し支えないと思うが)を占める以上は、使える状態で使わない訓練をする方が良い。
次に、この方法を1/3~1/5の正月休みの期間に実践した感想を書く。
やってみた感想
端的に成果を書くと以下を達成できた。
- 毎日語学の勉強ができた
- 毎日ジムに行けた
- 本を3冊読み切れた
- このブログを書けた
感想としては、とにかく自分で自分の時間をコントロールできている感覚が強く、充実した時間を過ごすことができた。ネット環境から断絶しているわけでもないので、必要であれば調べもののためにブラウジングはするし、それが終われば作業に戻る。こう書いてみると当たり前過ぎて驚くのだが、これができていないのが今までだった。一度ネットの海にアクセスしたら情報の濁流に呑まれて帰ってこれなくなっていた。特にプッシュ型通知やSNSのタイムラインのように、受動的に情報が流れてくるものは総じて危険だ。例えこのデジタルデトックスの実践を一旦やめたとしても、これらを意識的に割ける努力をするだけで日常生活の充実度は大きく変わってくると思う。
以上、簡単なので読んでいる方にもぜひとも実践してみてほしい。それでは~