「まんがでわかる理科系の作文技術」を読んだ

新年あけましておめでとうございます、2月だけど今年初投稿なので。放置しかけていたこのブログをそろそろ動かしたいと思いまして、まずは最近読んだ本の感想から始めていきたいと思います。

今回読んだ本は「まんがでわかる 理科系の作文技術」です。私は活字中毒なため、普段はあまり漫画を読みませんが、会社で勧められていた&会社の書籍購入補助が全然使えていないという事情から読んでみました。元々、仕事の場での文章を書くのが上手くなりたいという願望は持っていました。設計書とか仕様書とかを書くたびに、なんと自分の書く文章の分かりにくいことかを嘆いていました。これでも、自分は文章を書くのはそこそこ上手いという自覚は持っていました。その根拠というのも、中学時代の作文が褒められたとか、エッセイが褒められたとかそういう程度のものなのですが。奇遇なことに、この漫画での主人公も、小説サークル出身で文章を書くのに自信があるという、自分と似たような立ち位置だったので少し驚きました。
前置きはさておき、内容に入りたいと思います。

各章ごとのまとめ・感想

Chapter01 仕事の文章の心得

「仕事の文章では事実と、それに基づいた意見や判断を書け、お前の感想はいらない」というような内容です。小説書き上がりの主人公を叩き直すのに最適な出だしだと思います。至極当たり前のことに見えますが、自分が書いているのが事実なのか意見なのかを常に意識しながら書くことは重要だと思いました。また、文章を書くにあたって、その文章で何を目標とするのかを示す「目標規定文」を書くことも勧められていました。確かに、仕事の文章でたまに「このドキュメントは何?」みたいなトピックが最初に含まれているのをたまに見ました。あれがこの目標規定分に当たるものだったのかと納得できました。

Chapter02 文章の組み立て

「文章の最初の方を見れば、その文で何が言いたいかわかるようにしろ」という重点選考主義が取られています。例にして挙げられているのは新聞で、タイトルから最初のリード文を見れば内容を把握することができ、その後に続く記述はより詳細になっていきます。このように、概観から細部、巨視から微視へ内容を繋げていく構成が勧められています。自分の経験に照らし合わせてもかなり納得できました。詳細設計書を書くにあたって、シーケンス図やフローチャートの前に具体的な手順をテキストベースで記述して「図が欲しい」と言われたことがあります。仕様書においては、図は概観、手順は細部に値するものだったんだなと理解できました。

Chapter03 文章の構成

「文章を書く前に、ちゃんと構成を俯瞰して、論理展開が明確になるように組み立てろよ」という内容です。正直、自分は業務ではnotionメインであまりかっちりした内容を書くことがないので、そこまで学びに落とし込めませんでした。文を適切なパラグラフに区切り、パラグラフ中に一つトピックセンテンスを入れることなども書かれていましたが、自分がよく見るnotionベースのページでは、文章よりはリストにして列挙する方が多かったりします。これを当てはめるとしたら

  • トピックセンテンス
    • hoge
    • fuga

的な構成?あまり分からない。

Chapter04 脱・日本語の文章

「日本語は英語と比べて、最後まで文章を読まないと構成が分かりにくい」と指摘されています。これは修飾節が基本的に前置されることに起因しているらしいです。まあこれは素直に同意ですね。このあたりは文を短く切ったりとかで割と対策できるかなと思っています。もちろん日本語らしい文章ではないですが、仕事の場で日本語らしい文章は求められていないとはっきり書いてあります。
そのほか、「思われる」みたいな受身系や、「ほぼ」、「だいたい」、「約」なども避けるように書いてあります。受身系については分かりますが、「約」を禁じられるのは結構厳しいような。まあ目安なので乱用するなってことなんでしょうね。

Chapter05 「事実」と「意見」

「事実と意見をはっきり区別し、事実に基づいた意見を書け」という章です。Chapter01で書かれていた内容がさらに詳細になっています。また、文章を書く上での細かい注意点なども同時に書かれています。ここで一番感心したのは、相手が誤解できないような文を書くというページで紹介されていた例文です。
「全ての増幅器は安定でない」 → 全ての増幅器は不安定である。 →どの増幅器もみな安定であるとは限らない。

自然言語の曖昧性を感じられる非常に味わい深い一文です。

また、文章全般に言えることとして、「字面を白く」することも勧められています。具体的には、常用的でない漢字を使わなかったり、適切に改行を行うことが挙げられています。先に書いたnotionの例で、文章で構成するのではなく、リストで列挙する書き方もここに含まれるかもしれません。

Chapter06 講演の要領

講演する際の注意点が書かれていますが、ここは特段目ぼしい内容もなく、文章とは関係ないトピックなので割愛。

まとめ

仕事の文章を書く際の基本がよくまとまっている良い本だと思いました。漫画でサクッと1時間程度で読めるのもかなり良いです。私は元になった本を読んだことはないですが、おそらくその本の内容を良い感じに要約してくれていることでしょう。
ただ、仕事の文章でそのまま実践できる内容かどうかというと、多少なりとも自分なりに解釈する必要はあると感じました。タイトルからして学生のレポートとか、論文作成とかで直接的に活かせる内容になっているのだろうなと思います。少なくとも私が普段業務の場で書いてるような文章とは、形式が違いました。マークダウン的な文章の構成で、そこまでつらつらと平の文を書き連ねていくことがないんですよね。この文章で書かれていることを実践しつつ、何かそのあたりの内容がカバーされた本を見つけられることができたら良いなと思いました。

それでは〜